恋口の切りかた

「なッ──なんだこりゃァ!」

素早く振り返る。
戸口に、やはり刀を持った見知らぬ男がいた。

こんなやつ知らない、村人じゃない、この感じ、今のやつの──

──仲間だ。


「な──!? まさかこのガキが──」


声を上げる男の、その刀を握った手首を、おれは迷わずにねらった。

悲鳴とともに、男の手から刀が落ちる。

今度は、首は高い。遠い。

おれは男の脇を駆け抜ける勢いで男に走り寄って、
そのまま全身の体重をかけて
腹を、
力一杯手にした刀で横薙ぎに斬りつけた。

木刀で相手の腹を
深く、
深く
打ち込むように──。


もの凄いさけびを発して、男が膝(ひざ)からくずれ落ちた。

ぱっくり引き裂かれた男の腹から
ぼとぼとと何かが──
中身が──
土間に落ちて散らばった。