恋口の切りかた

ちっ、と目の前の男が舌打ちする。

「くそ、うるせえな。これだからガキは嫌なんだ」

そう言って、男は手にした刀をおれに向かって振り上げた。


ああああああ! とおかあの甲高い悲鳴が聞こえ

ぞわっと、おれの全身を冷たい嫌な感覚が這い上がって──


「やめて下さい! その子は──その子は本当にいい子なんです──本当に優しい、いい子なんです──」

泣きさけぶおかあを必死でおとうが押さえつけている。

男がおれに刀を振り下ろす。


それらは皆、妙にゆっくりと見え──


一瞬だけ、漣太郎の顔が脳裏をよぎった。

「お前は強いんだからよ」

と、声が聞こえた気がした。