【漣】 俺が事件のことを知ったのは、 年が明けた正月の朝── 全てが終わってしまった後のことだった。 刀丸の村が盗賊に襲われた。 話を聞いて、 周りの者が止めるのも聞かず 夢中で走って村にたどり着いた俺が目にしたのは 前夜から降り積もった新雪の上に広がった赤い色── 体中から、竹槍や鎌や刀を生やして絶命している六つの死体と、 片手に血に染まった抜き身の刀を握りしめたまま、 全身血まみれで 泣きながら家の戸を叩き続けている刀丸の姿だった。