恋口の切りかた

さて、布団の中で
調べ物とは何のことだろうと私が思っていると、

「『人形斎』という人物は、腕のいいカラクリ発明家として評判だったらしいな。
その名の通り、カラクリ人形を作るのに長けていたらしい」

宗助はそんなことを告げた。

発明家……と、円士郎が呟いた。

「人形斎は、確かに五年前まで城下に住んでいたようだ。その後一度、町を離れて近隣の山中に移り住んでいる。
知る者の話では相当の偏屈者だったらしい」

「今も山ん中に住んでるのか?」

「いやそれが……」

円士郎の問いに、宗助は言い淀み、

「山中の庵はとうに廃屋になっていた。
どうも山に移り住んでからの消息がつかめないのだが──ただ、最近になって、『人形斎』と名乗る者が再び城下に現れたとの情報がある。

もっとも、本人かどうかはわからないが……」

「どういうことだ?」

「その男は、妙なことにいつも狐の面をつけているのだそうだ」

「なに!?」

円士郎が息を呑んだ。


狐のお面──。


私は、橋のたもとで最初の犠牲者が焼け死んだ日、
じいっとこちらを見ていたお面の男を思い出した。


「狐の面を被った男なら俺も見たことがある」


円士郎も?

私はびっくりして横を見た。

円士郎は天井を睨んでいた。