恋口の切りかた

「おい……」

「……なに?」

「お前それ、俺が一回寝返り打ったら布団から外に出ちまうだろうが。
風邪引くぞ」

「だって……」

上を向いていた私は、ちらっと円士郎のほうを見て──

当たり前だけれど、すぐ間近に円士郎の顔があって、慌てて上を向いた。


今でもこんなに近いのに、これ以上なんて……無理だよ!


「ここでいい……」

すると横からは、くっくっくっという笑い声が響いてきた。


何だろうと、また横目で円士郎を見ると、

「いやあ、自分より遙かに緊張してる奴が横にいると、随分余裕ができるもんだなと思ってよ」

円士郎は例のいたずらっぽい目をしてそんなことを言った。


からかわれた……!

ほっぺたが熱くなるのを感じて、


それから、今の言葉は……

ひょっとして、円士郎も緊張している、という意味なのかな、と思った。


そろそろと首を動かして円士郎のほうを向こうとしたその時──


「円士郎様」


突然、障子の向こうから声がして、私の心臓は跳ね上がった。


「宗助か」と横で円士郎が言った。

「円士郎様から、調べるように命じられていたことについてだが……」

「何かわかったのか?」


う、うそ! 宗助!?

どうしよう、こんなところにいるのを知られたら──