恋口の切りかた

すがるような目で見つめられて、俺は完全に狼狽した。


「一人で眠れないって──」


留玖をいじめようとした天罰だろうか。

天罰と言うより褒美の気もするが、さすがにこんな展開は予想していなかった。


「それなら雪丸か母上のところに行けよ」


どこかに飛び去りそうになる理性を全力で引き戻して総動員し、何とか嫁入り前の留玖にとってこの場合常識的と思われる解決策を提案した。


「ダメ……!」

留玖はますます泣きそうな顔になった。

「こんなの、他の人に知られたら恥ずかしくて、もう表を歩けないよ」

「…………」



それは、






俺になら知られてもいいと思って、頼ってくれたのか?






俺の頭の中はまたしても都合の良い考えに傾いて、理性が飛び立とうとしている。

いやいや、落ち着け、と言い聞かせる。

俺になら知られてもいいのではなくて、
冷静に考えてみれば、既に留玖の怖がりを知ってるのが俺だけだからだ。