恋口の切りかた


 【剣】

恥ずかしくて、顔から火が出そう。

事件のせいで、この例えすらも怖いけれど。


座り込んでしまった私が、立つことができずにいたら、

「仕方ねえなあ」

円士郎が何やらニタッと意地悪そうな笑顔になった。


それは小さい頃に、村の子供をいじめ回っていた漣太郎がよく浮かべていた笑顔で、

私は嫌な予感が胸に広がるのを感じた。


「ほら」

と、彼は背中を向けてしゃがみ込んだ。

「おぶされよ」


私はあれっと思う。

一瞬かいま見えた極悪な笑みが嘘のような、優しい態度だった。


けれど、

こんなに大きくなって、

お化けが怖くて腰を抜かして

円士郎に背負われて屋敷に戻るなんて


「恥ずかしい……」


私は穴があったら入りたかった。


「夜だし誰も見てねえよ。
それにお前を背負ってるところなら既に、役方連中に見られてるしな」

「えっ」

「銀治郎の所で気分が悪くなって倒れたって言っておいたし、ホラ」


円士郎はそう言って促したけれど、私はやっぱりためらった。



そうしたら、