恋口の切りかた

「おい、どうした? 大丈夫かよ」

俺が訊くと、留玖は消えそうな声で「足が」と言った。

「ふ、震えて……立てない」


──そんなに怖かったのか。


銀治郎の所から、少し脅かしすぎたかな。

反省しつつも、
俺の中では鬼の子の極悪非道な心がムクリと頭を起こす。


考えてみると、だ。


幼い頃から留玖は剣の腕は俺と互角で、

喧嘩勝負では勝ったり負けたりだったため、

俺は他の子供に対してのように、留玖を一方的にいじめることはなかった。


というか、力関係的にできなかったのだ。


しかし。



まさかの弱点発見である。



これはやはり──いじめっ子、悪ガキの血が騒ぐというもの。


ガキではあるまいし。
惚れた女に嫌がらせしてどうする、と思う。

思うが。

ガキではないのだ。
そこは、嫌われないようにやればいいだろう、などとも思う。


これまで不可能だっただけに、
自分が圧倒的優位に立てるこの弱点を知ったからには、

留玖が可愛くて仕方がないからこそ、



いじめてやりたい。



結局、性格がひねくれているのか性分がねじ曲がっているのか

俺は、残虐にもそんなことを考えてしまうのだった。