恋口の切りかた


 【円】

留玖が突然その場にぱったりと倒れたので、俺は仰天した。


地面に頭を打ちつけそうになる留玖を、急いで支えて

声をかけて揺すったが、くたりと全身の力が抜けていて反応がない。


急いで脈を取り、

胸をなで下ろす。


どうやら気を失っているだけのようだった。




しかし、今のは──


明かりが消えて漆黒に覆われた路地を眺め、ぞっとしつつも、


どこかで──

見覚えがある?


今の一連の出来事に、俺は奇妙な既視感のようなものを感じたのだ。



「これは」
「またか……!」
「まだ息があるぞ!?」



騒々しい声に、視線を向けると

未だ青い炎がちろちろと揺らめいている辺りに、提灯の火が集まっている。


駆けつけてきた奉行所の連中のようだ。


「き、貴様──何奴だ!?」


倒れた留玖を抱えてしゃがみ込んでいる俺に気づき、

提灯を掲げた町同心が鋭く叫んだ。


「おのれ、怪しい奴!」

たちまちわらわらと、たくさんの提灯が俺の周りを囲んだ。