【剣】
提灯を片手に夜道を屋敷へと帰りながら、
くっくっく……と、ずっと円士郎の笑い声が聞こえている。
「お前にこんな弱点があるとはなァ。
いや~可愛い可愛い」
私は耳まで真っ赤になっていた。
意地悪!
いじわる!
イジワル!
「何怒ってんだ?」
知らない! 円士郎なんか!
私は覗き込んでくる円士郎から
ぷい、と顔を背けて、
でも怖くて、しっかり円士郎の袖を握ったままだったりする。
うう、恥ずかしいよ……。
「ふうん、だがまあ、銀治郎の話からだと、
完全に渡世人同士のイザコザだし、
確かに五年前の事件と今回の事件は──関係はなさそうだな」
円士郎は歩きながら真面目な口調になって、
そんなことを呟いて
私はこの先に待ちかまえている恐怖をまだ、知らなかった。
それは、
私と円士郎が堀の辺りまで来たときだった。



