恋口の切りかた

すると、


「おや?」


銀治郎が言った。


「何か、庭のほうから……気持ちの悪い声が聞こえやせんか?」

「えっ……」


びくん、と留玖の体が強ばる。


「こいつァ、ひょっとして鵺の──」





「いやああああ──!!」





再び留玖が絶叫して、俺に強くしがみつく。

胸が……
胸が当たってるって、留玖……。



「いや、失礼。あっしの聞き違いでやした」

しばらくしてから、白々しく銀治郎が言って



「ひ……ヒドい。親分さんまで……ふええ──」



ベソをかき始めた留玖の横で、

俺と銀治郎はひとしきり大笑いしたのだった。