恋口の切りかた

日はとっぷりと暮れ、我に返れば鼻先も見えない暗闇の中で

この町の奇妙で不思議な裏側の話に聞き入っていた。


裏に潜む鵺の大親分。


どこか怪談じみた、城下町の闇に流れるお伽噺のような物語だった。


この町の裏側がこんな面白いことになっていたとは、
俺も今日まで全く知らなかった。


ゾクゾクするような興奮に包まれて、



俺はいつの間にか、隣に座った留玖が一言も発しなくなっているのに気がつく。



「留玖?」

声をかけると、

真っ暗闇の中でぎゅっと、留玖の手が俺の着物の袖をつかんだ。



どきっとする俺の横で、


「な……何なのぉ、この気味の悪い話……」

留玖が泣きそうな声を出した。

「そんなに姿の変わる人間なんて……お化けの話みたいじゃない……」

袖をつかむ手から、震えが伝わってきた。


そう言えば留玖って──

前に鳥英の長屋に行った時も、やたらと怯えていたが、

ひょっとして、こういう怪談じみた話は駄目なのか?


剣ではあんなに強いのにな。


俺は少しいじめてやりたい気分になって、





「留玖、後ろ!」

と叫んでみた。