カガチ──シロカガチか?
白輝血の奴らのことか?


「おい、てめえら、親分さんのトコに案内しな」

「遊水か」

遊水に声をかけられた銀治郎の子分たちは軽く顔を見合わせて頷き、
一人が遊水を伴ってその場を足早に立ち去って行った。



その背中を見送って

ふと、



野次馬の中に
俺は酷く場違いな──

奇妙なものを見た。




狐だ。




白い狐の面を被った男が一人、野次馬の中に立っている。

騒ぐ群衆の中で、
そこだけ時間が止まったような錯覚があった。




どこか薄気味悪い狐面は、

やがてふいと


野次馬に紛れて見えなくなってしまった。