恋口の切りかた

俺の声で、最初に動いたのは平司だった。

道場稽古と同じように、勢いよく相手に打ちかかる。


が、刀丸は刃を交えることなくひょい、とそれをかわした。

「この──ッ! えい! やあ!」

平司はムキになって何度も打ち込むが、刀丸にはちっとも当たらない。


「ふうん?」と、平司の攻撃をかわしながら、刀丸が嬉しそうに呟いた。

河原の悪い足場も、ものともしていない。


「結構強いんだ、きみ」


瞳がきらきら輝いている。
おもしろい獲物を見つけて喜ぶように。


ああ──そうか。


刀丸が自分以外の誰かと勝負するところを初めて見て、俺は知った。


こいつ、俺と似てるんだ。


性格は全然違う気がしていたが、俺と同じで

勝負するのが
戦うのが

好きでたまらないんだ──。