恋口の切りかた

「なんだよこりゃあ!?」
「喜三太が勝手に──」
「くそう、消えねえよ……!」
「勝手に──燃えて──」
「ええい、落ち着かねえかッ」
「こりゃあ、もうダメだ」
「まさかこれもシロカガチの奴らがッ……」


橋のたもとのほうからは、
悲鳴に混じってそんな怒声が届いて──


「いったいどうなってやがる!?」


私の耳は、

群衆の中からその声を拾った。


「円の字の旦那!」

「どういうこった!? こいつはまさか銀治郎んトコの──」

「へい、喜三太の奴で」


エン──

エンの声だ。

円士郎がそこに、いる。


私は押さえつけられている頭を動かして、


「こんな……こんなことが──」

頭上から降ってきた声に見上げると、

遊水は私がこれまで見たこともない怖い顔で、奥歯をぎりぎりと音が鳴るほどに噛みしめて橋のたもとを睨みつけていた。


私もそちらを見ようとすると──


「駄目です! 姉上……」

すぐ横から冬馬が言った。

目だけ動かして冬馬を見る。

冬馬もまた
私が初めて目にする蒼白な顔で汗を浮かべ、口元を着物の袖で押さえていて、


私は恐ろしくなって、首を動かすのをやめた。