恋口の切りかた

遊水の言葉は、的を射ていて──


それは


これまで、私が気がつかないでいたことだった。


村を離れて、一人結城家に引き取られて、

円士郎や冬馬、風佳たちと笑い合っていても──

私には、胸の内を包み隠さず吐露できる相手が、


いない……。


「何もてめえの全てをぶちまけられる相手が一人いなくたっていいんです」

と、遊水は私の考えていることを読んだかのように言った。

「そういう時は、ご自分の周りの御仁たちに、
それぞれ相談できる部分だけ、少しずつ打ち明ければいい。

──まァ、誰に何を相談したかを覚えていないと、痛い目にあったりしますがね」

遊水はおどけて、

「人ってのァ──みィんな大抵、そうやって生きてるモンなんですぜ?」

くすりと笑って、突っ立っている私を見下ろした。


それから遊水は、「おっ」と声を上げて橋のたもとで芸を披露している旅芸人に翠玉の視線を向けた。


「こいつは懐かしいねェ。
昔は俺も、ああやって芸をしながら町や村を回ったもんだ」

「え……?」

「いやなに、俺は幼い頃に天涯孤独になってから
しばらく見せ物の一座に厄介になってたもんで」


何しろこの面相ですから、と浮世離れした容姿の金魚屋は
被り手拭いから覗いた金の髪をつまんで
屈託なく笑って見せて──



「おつるぎ様は、武家の水に馴染めていますか」

そんな質問をした。