恋口の切りかた

キラキラと眩しく輝く家々の瓦から視線を外して、

私は橋の上で、欄干にもたれて川を見下ろした。



冬馬に対して投げかけた質問を思い出す。

冬馬があんな反応をするとは予想外だったけれど……



円士郎は、私に──
──結城家にいてほしくないと思っている。


そう知ったら、急に居場所がなくなってしまったような気がして……



あそこに
私の帰れる場所なんてもう──ないのに。



「村に帰りたい……」



小さく声に出してしまった。


その瞬間、




背後に誰か立つ気配がして、ぽん、と肩に手が置かれた。




「エン──?」


私は弾かれたように振り返って、


「──じゃあ、ありやせん」

「遊水さん……」

「はい。ガッカリさせちまってすみませんが、俺です」


傍らに立って困ったような笑みを浮かべていたのは、それこそ以前に狐と間違えた──

今はもう見慣れた金髪の青年だった。