【漣】
「冗談ではありません! どうして私が農民の子と──」
文句をたれる平司に向かって、俺はニヤリと笑った。
「へえ、お前負けるのが怖くて逃げるのか?」
「なッ──無礼な! 私が農民相手に負けるわけがないでしょう」
「じゃあ、勝負するんだな?」
俺の言葉を聞いて、
平司はぐっと一瞬つまり、
「──いいだろう。勝負を前に逃げたとあっては武士の名折れだ。お前もかまえろ!」
木刀をかまえて刀丸に向き直り、そう言った。
……乗せやすいやつ。
まあ、こいつのクソ真面目な性格はよく知ってるからな。
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