恋口の切りかた

大通りにかかる太鼓橋のところまで来て、

冬馬は「買いたいものがあったので、姉上はここで待っていて下さい」と言って何やら町のほうに駆け戻って行った。

そう言えば、
さっき小間物屋で、何か熱心に見ていたようだったけど……




一人になって、私は所在がなくて
ぼうっと、道行く人々を眺めた。

明るい午後の日差しに、
大通りに軒を連ねて立ち並ぶ商家の黒瓦がキラキラと輝いている。



ふと、視線を感じた。



誰かに、じいっと見られているような。



首を巡らせ──

群衆の中に、奇妙なものを見つけた。





狐だ。





白い狐のお面を被った人が、じっとこちらを見ていた。