恋口の切りかた

ぎくりとする。


息を潜めて、次の言葉を待ったけれど……

しかし冬馬は、それ以上この話題には触れなかった。


「姉上は、どうも結城家で色々気を遣われて……心苦しい思いをされているのではないですか?」

代わりに冬馬は私のことをそう心配してくれて、

「私に対しては、遠慮や気遣いは無用です。同じ養子なのですから」

と言った。


今日の冬馬はいつになく饒舌(じょうぜつ)だった。

いや、ひょっとすると……

私や円士郎の前とは違って、風佳と一緒の時はいつもこんな風なのかもしれない。


「うん、ありがとう」

と、私がぎこちなく微笑むと、
冬馬はそんな私をしげしげと眺めた。


「姉上は、ここのところ元気がないご様子ですが──」


冬馬は前を向いて歩きながら、私から視線を外して言った。


「以前仰っていた──その、好いた相手と……何かあったのですか?」

「な、何でそうなるの……?」


私はうろたえた。


「べ、別に、そもそも私はそんな人がいるって言ってないよ……!」


冬馬は立ち止まって、眉根を寄せて私の顔を見下ろした。

今度は私が視線を逸らしてしまう。


「そうでしたか?」

「そうだよ」


冬馬は納得したような、してないような顔で再び歩き出した。