恋口の切りかた

「兄上はあの通りの性格ですが……姉上は、兄上がお好きですか?」



円士郎が、好き……?



その問いに、昔ならば躊躇なく頷くことができた。

一緒にいるだけで楽しくて、





大好きだった。





でも、今は──

簡単に首肯できない。



好き。



その言葉が持つ無邪気な意味とは別の、

触れがたい響きばかりが胸に届いてしまう……。



「私は好きです」

冬馬は迷いなくその言葉を口にした。

羨ましくなるくらいに真っ直ぐに。



私がそんな風に、その言葉を口にできなくなったのはいつからなのだろう……。




「円士郎が好き」──と。




冬馬は少しだけ苦笑して、

「血の繋がりはなくても、尊敬していますし、あの兄上が私の兄で良かったと心から思っています」

そう言って、表情をかげらせた。

「なのに──自分でも信じられません。
これが兄上に対する、許されない裏切りだとわかっているのに……」