【剣】
父上は、円士郎には儂からちゃんと話をしておいたから、お前は何も案じなくて良いと言っていたけれど──
円士郎はあれっきり、私とは口を利いてくれなくて、
屋敷の中で顔を合わせても目を逸らされてしまうし、
道場での手合わせでは、凄く怖い顔で打ちかかってきて──
でも円士郎の動きには、どこか思い切りみたいなものが足りなくて
私が勝ってしまって……
円士郎はそのたび、私に突き飛ばされた時のような、
酷く傷ついたような顔をして──
少し前まで、あんなに楽しかった円士郎との勝負なのに……
円士郎に嫌われた。
頭の中にはそればかり浮かんで、
私は死んだみたいに何もする気力がなくなってしまった。
冬馬が、
大河家に風佳の見舞いに行かないかと声をかけてきたのは、
それから数日が経った、よく晴れた温かい日のことだった。



