恋口の切りかた

馬鹿な……


死体が見つかれば、調方やら奉行所やら役方が出張ってくる。

町人たちの噂だけではなく、武士の間でもそんな事件の話は聞かないぞ?


役人連中も含めて、完全に情報を押さえ込んでるのか?

そんな真似が──


──いや、できるからこそ、「操り屋」なのか。



「まったく、骨の折れる仕事だ」

遊水は美しい双眸を険悪に細めて吐き捨てた。


「なんで、あんたがこの事件を……」

「そりゃァもちろん、
この事件が知れ渡ると都合が悪いお人がいるからに決まってるだろうよ」


俺の問いに、遊水は溜息を一つ漏らし、


「鬼の字の旦那は疑っちまった手前もある。
円士郎様のことも信用して話すが……

この無惨な死体で見つかった女ってのがね、『全て遊女』だ。

それも、揃いも揃って銀治郎親分のシマの見世の女とくりゃァ──」


そういうことか──


つまり、遊水に

この無茶な操り屋の仕事を依頼したのは……



「御察しのとおり、俺の依頼主は虎鶫の銀治郎だ」