恋口の切りかた

屋敷に戻った俺はすぐさま親父殿の部屋に向かって──

しかし部屋はもぬけのからだった。


聞けば、今夜は先法三家の当主同士の集まりがあって、遅くなるとのことだった。


勢いを殺がれた俺は、自室に戻るかと廊下をフラフラ歩いていて、



冬馬の部屋の前を通りかかった時、

開いた襖から中が見えた。



中には、


冬馬と

風佳がいて


冬馬が、風佳を抱きしめていた。



俺が見ていることに気づいた冬馬が、ハッとしたように風佳から離れて──

──うお!?

風佳が、どう見ても大泣きした後という顔をこちらに向けて、俺はぎょっとした。


「円士郎様……!」


風佳は息を呑んで、蒼白になった。


「おう」と、俺はこちらを凝視する二人に言葉を返して、


「念のため聞くがよ」


これまでいつもいつも、うちの屋敷に遊びに来るたびに放置していた許嫁殿に尋ねた。


「俺は、嫌われてると思ったからそうしてたんだが──

ひょっとして……俺がいつも、お前を放り出して屋敷を抜け出してたことで、お前を傷つけてたか?」

「え──?」

風佳は困惑した表情を作った。

「つまり、だ。その……今、お前が泣いてたのは、俺のせいか?」

「今さら何を言い出すかと思えば──ッ」

すると突然、怒りの声を上げて冬馬が立ち上がった。