恋口の切りかた

漣太郎と友達になってから、

楽しくて
夢のようで

毎日が飛ぶように過ぎてゆき──

一番好きな花が散り、
二番目に好きな花が咲く季節になった。



最初は剣術勝負ばかりしていたおれたちも、
最近では一緒に川で遊んだり
山に行ったりもするようになっていて

その日の寺子屋の帰り道も、
おれは漣太郎に魚とりに誘われた。


実はその時、

おれはほかの子供たちにも
一緒に遊ばないかと声をかけられていたのだけれど。


「馬鹿野郎! 刀丸はオレと遊ぶんだよ!」

と、漣太郎が木刀を振り回して追い払ってしまった。


「漣太郎のあほー!」

「お前、近ごろトウ丸ひとりじめして!」

「トウ丸ぅ~、そんなやつ放っといてオレらと遊ぼうよ~」


遠くから半べそでほかの子たちに呼ばれて、
おれはちょっと困った。


「ねえレンちゃん、みんなで一緒に遊ぶのはだめかな?」

これはいい案だと思って、おれが漣太郎に言うと、


『ダメだダメ!』

「……うん、ごめんなさい」


漣太郎とほかの子たちと
両方から即答されてしまった。