恋口の切りかた

えっ? 私?

その場にいるみんなの視線が、一斉に自分に注がれるのを感じて──私は戸惑った。


虹庵は無言で立ち上がると、鉄瓶がシュンシュン鳴っている火鉢に歩み寄って、

灰の中に刺さっていた火箸を一本抜いて手に持った。


……なんだろ?


虹庵はそのまま、遊水の隣の縁台に座っている私のところまで歩いてきて──





突然、

私の喉目がけて火箸を振り下ろした。






キン、と澄んだ音がする。



「な──何を……!?」

鬼之助の驚愕する声が聞こえた。




私は咄嗟に、遊水の手から奪った煙管で火箸を受け止めていた。


隣で遊水が、あんぐりと口を開けた。





虹庵は
彼の一撃を止めた私に、ニコリと満足そうな笑顔を見せて
火箸を引いて、



「これが、我々の求める武芸の道だ」



そう言って鬼之助を振り返った。