恋口の切りかた

宗助が、心の一方を解くように鬼之介に言い、
彼は素直に頷いて「ボクの刀はどこだ?」と訊いた。

虹庵が、枕元に置かれていた刀を渡すと、鬼之助はうめきながら上半身を起こした。

肩も腕も脱臼やら骨折やらで満身創痍の鬼之助は、
痛みを堪えている様子で刀の鞘と柄を両手で持ち、

少しだけ刀身を鞘から引き出した。

「これを見ろ」

と円士郎に言って、



チン、と音を立てて刀身を鞘に納めた。



それだけだった。



「あァ?」

眉を寄せる円士郎に、鬼之助はこれで解いたと告げた。


それから、鬼之介は周囲をキョロキョロと見回して、
どうやら状況を把握したらしかった。

「ボクは負けたのか」

「そ~うだ、そのとおりだ。
てめえが勝手に負けたんだ、俺が勝ったんじゃなくてな」

くそ、と短く漏らしてうつむいた鬼之助の横で、
円士郎は「しっかし凄ェよな」とケラケラ笑った。

「あんなモン自分で作っちまうなんてな。
いや~凄ェ凄ェ! 着てる奴自身をここまでボコボコにする鎧なんざ初めて見た」

「貴様、馬鹿にしてるだろ!」

円士郎は嬉しそうにニタついて、

「てめえは気に入らねえが、てめえの発明は気に入ったぜ」

と言った。


鬼之介は意表を突かれたように、惚けた顔になって円士郎を見つめた。