恋口の切りかた

私の様子に気がついて、遊水もそちらを見た。


私は背筋が凍りつくような戦慄を覚えたけれど──

遊水は、「ああ、これはこれは」と、二人に向かって会釈しただけだった。


目を戻すと、
冬馬は少し怪訝そうな顔をして、雪が降りしきる庭の向こう側で
そのまま風佳と一緒に廊下を歩き去った。



「おい、遊水。留玖に煙草なんて吸わせんなよ」

入れ違いに、円士郎が障子から顔を覗かせてそう言った。


幸い、風佳と冬馬の姿は消えた後で──

私は、先程までとはまた違った、体の芯が冷えるような感覚で
心臓がどきどきとうるさく鳴るのを感じていた。





ようやく鬼之助の意識が戻ったのは、

冬の陽も落ちかかり、もうすぐ暮れ六ツの時の鐘も聞こえてこようかという七ツ半どきのことだった。



「貴様、動けるのか……?」

鬼之助は円士郎を見て目を見張り、

「俺が仮に解いた」

虹庵と共に部屋に戻ってきた宗助が言うのを聞いて、更に目を丸くした。