恋口の切りかた

「留玖……?」


不思議そうな顔をする円士郎に背を向けて、

私は急いで円士郎から離れて、


縁側でのんびり煙管をくわえている遊水のそばに行った。


「おや?」と眉を跳ね上げる遊水の隣に座り込んで、

「そ、それ……おいしいのかな?」

遊水が手にした煙管を指さして、我ながら無理矢理と思える話題をひねり出した。


遊水は肩越しに部屋の中の円士郎のほうに視線を投げて、
何を思ったかふふっと笑った。

「煙草ですか?」

「う、うん。貸元の親分さんもよく吸ってるし」

焦りながら言うと、

「吸ってみますか」

遊水が煙管を差し出してきて、私は適当に会話を振ったことを後悔するハメになった。


どうしよう、煙草なんて吸えないよ……。


困っていたら、庭を挟んだ廊下の向こうを歩く冬馬と風佳の姿が目に入った。

二人はとても仲良さそうに話しながら歩いていて、


風佳が、つと

冬馬の着物の袖を握るのが見えた。



私は何だかギクリとして──



冬馬がこっちを向いた。



私は視線を逸らす。

何故か、見てはいけないものを目撃してしまったような気がした。