恋口の切りかた


 【剣】

立ち上がった冬馬を残してその場を後にする円士郎の背中を見つめて、

「くやしい……」

風佳が小さく呟くのが聞こえた。

「わたくしは、冬馬様に言葉をかけることすらできなかったのに……」

「私もだよ」

私は風佳にそっと頷いて、


やっぱり円士郎は頼もしいなぁ、と思った。


円士郎がその場にいるだけで、
なんだかホッとする。

安心できる……。


私はいつもの調子を取り戻したように見える冬馬の様子を見て、嬉しくて──


円士郎の後を追いかけて、

伝えようとしたら彼は何だか勘違いしていたけれど。


円士郎と並んで歩きながら、

私は雪を見上げていた時のように、ふわふわした温かいものに包まれている感じがした。