恋口の切りかた

「兄上……」


冬馬は俺の顔を見つめた。


「全然褒められてる気がしません」


いやいや俺としては全力で褒めてるつもりなんだが。

ゲラゲラ笑う俺に向かって、冬馬は大きく嘆息した。


「何というか、兄上と話していると自分が真剣に悩んでいるのが馬鹿らしく思えますね」

冬馬は、苦笑しているような
どこか泣きそうな
そんな表情でフラフラと立ち上がった。

「でも、今はそんな兄上の弟で良かったと思います」

「あァ? てめえこそ、褒めてるのか何なのかわかんねェこと言ってんじゃねーかよ」


何かが吹っ切れたようなサッパリした様子の冬馬に、俺は眉根を寄せて


立ち尽くしている風佳の横を通り抜け、

どうやら解体作業が終わって屋敷のほうに運ばれていった鎧武者の後を追いかけた。





すると後ろから留玖が走り寄ってきて、愛らしい顔で俺を見上げた。

か……かわいいぞ。


「な、なんだ留玖?」

思わずクラッとしながら俺が問うと、

「えへへ、やっぱりエンは凄いな。格好良かったよ」


──格好良かった!?


一瞬で俺の心は舞い上がる。

「そ、そうか? まあ、相手が勝手に自滅したようなもんだけどな」

俺は頬がゆるむのを感じながら言った。


留玖はキョトン、として、

「ああ──試合も、うん、面白かった」

可笑しそうにクスクス笑った。