恋口の切りかた

「私は」


冬馬は視線を再び足下に落として、消えそうな声を出した。


「戦意を喪失した相手に斬りつけ──殺そうとしました」

「らしいな」

「あいつらが許せなかったのです」


話を聞いた限りじゃ、冬馬がいくら潔癖な性格だからとは言え、そこまでした理由は不明だが──。


「私は武士失格です」

「あのなァ──」


いつにも増して陰気な冬馬に、俺は溜息を吐いた。


「そこは武士失格じゃなくて修行不足って言っとけよ」


大体な、と俺は留玖を横目で見て肩をすくめた。


「今回一番問題だったのは、お前の試合じゃねェだろ」

「え……?」


俺が何を言い出したかわからない様子で、冬馬は怪訝そうに再び俺を見上げた。


「お前、初めは面白そうだって言った留玖や風佳をいさめて、道場破り追い返そうとしたらしいじゃねーか。
それが、途中から完全に立場が逆転して、留玖が止めるのも聞かずに奴らの口車に乗って勝負を引き受けただろ。

そこが一番問題なんだよ」

「……兄上がもしもあの場にいたならば──この勝負、やはり断りましたか」

「何言ってんだ!
こんな面白そうな勝負、絶対引き受けるに決まってんだろが!」

「は?」


笑いながら言った俺に、冬馬は拍子抜けした表情になる。


「そこで冷静に止める奴がいなくなってどうするんだよ!」

「はァ?」