恋口の切りかた

全力で身を捻り、鎧と擦れ違う。



俺の着物の袖を掠めて、

たった今まで俺が立っていた場所を、カラクリ鎧は滅茶苦茶に斬りつけた。



おおお、全然動きが見えねえ──!?


確かにこれは凄いが、所詮はカラクリ。

俺が動けば追って来られないとあっては……




──実用性は皆無だろ、コレ。




俺は未だ何もない空間を切り刻んでいる鎧を眺めて、

刀の向きを変え──


ずっとマントで隠されていた鎧の背中に刀の柄の部分を向けて、腕を振り上げた。


何でこんな妙な格好をしているのかと思ったが、おそらくここが──



マントの上から、刀の柄を叩きつける。



──カラクリを動かしている部分のハズだ。





ガキン、と何かに柄が挟まるような手応えがあり、

次いでガタガタギチギチと不気味な軋りを断末魔の叫びの如く上げて、




全身から刃物を突き出した物騒なカラクリ鎧は停止した。




「それまで」
と、虹庵が

可笑しそうな──
笑いを堪えているような顔で、

勝負の終わりを告げた。


いつの間にか、鬼之助の悲鳴は聞こえなくなっていた。