円士郎が上段から振り下ろした刀を、

宮川鬼之介……──以下省略がかわす。


かわすと同時、

鬼之介は円士郎の喉元を狙って横一文字に刃を一閃する。


円士郎がこれを大きく身をのけぞらせて避け──



強い!

円士郎と全く互角の宮川鬼之介……なんたらの動きに、私は目を見張った。


あんな動きづらそうな甲冑をまとっているのに。


以前、屋敷にしまわれていた鎧を見つけて、
円士郎と二人で着て遊んだことがあった。

その時は、

戦国の世の人は、よくこんなもの着て合戦なんてやっていたなぁ、とその重さにグッタリしたのを覚えている。


鬼之介の動きはその重さを全く感じさせないものだ。



二人の刀が合わさってしばし鍔迫り合いが続いた。


──が、円士郎が力ずくで刀を押し上げて弾く。


鬼之介が退き、距離を取った。



ヒュウ、と円士郎が息を吐いた。

「その眼鏡」

円士郎は鬼之介の顔にあるヘンテコなものを指さした。


「外さなくていいのか? 壊れても知らないぜ?」