恋口の切りかた

判定は道場破り側の番だったので、また鎧武者が務めることになり、


「鏡神流、結城晴蔵の子──」


私は一瞬迷って、


「──十兵衛です」

虹庵からもらった名前を名乗った。


冬場なのに汗をダラダラ流している大男は、

「お、俺は大条流、大条兵庫助と申す!」

と名乗りを上げた。


……なんだかもう、心の中で突っ込むのも面倒臭くなってしまった。


「始め!」

鎧武者の声が響いた。




この人は──


私は目の前の大男を見る。


辻斬りをしていた都築たちの言葉が蘇った。


この人は──「真剣で斬り合う覚悟」というものができていないんだな、と思った。

さっき、冬馬に腕を切られた人もそうだ。



「斬られて死ぬかもしれない覚悟」



それがない。



だからこんな風なんだ。



そう思って──あの夜、辻斬りたちの言葉を聞いた時も不思議だった疑問が、浮かんだ。