恋口の切りかた

遣いが届いたようで、
虹庵は出先の患者のところから駆けつけてくれたらしい。

門弟たちと宗助とに手伝わせて
虹庵は腕を失った道場破りの手当てをし、
冬馬には

「君にはこれより一週間、道場への立ち入りと刀を持つことを禁じる。
自分が何をしたかよく考えなさい」

と言った。


相手の腕は肘の先から無くなっていた。


冬馬は終始無言で、道場の軒下に座り込んでうつむいていて、

その様子は見えない壁があるかのように近寄りがたくて、誰一人として声をかける者はいなかった。


私はいつもと全く違った冬馬のことが気にかかったし、
風佳も心配そうにおろおろとしていたものの、

やはり二人とも、声をかけることはできなかった。




道場破りの治療をしながら話を聞いた虹庵は、私を見て

「話はわかった。では君は勝負を続けなさい」

と、言った。

てっきり
こんな勝負はもうやめさせられるかと思っていた私は、少し意外な気がする。


「一度引き受けた勝負だからね。
私が許可するから存分にやりなさい。まだあと二試合残っているのだろう?」

虹庵はそう言って、

「君は次の試合で勝ちなさい。あとは私がやろう」

と微笑んだ。

手当を手伝っていた宗助が、ホッと安心した表情になる。
円士郎は結局戻って来ていないけれど、これで少なくとも彼に順番が回ってくることはなくなった。


「おいおい、そちらは後一敗で負けが決まるんだぞ?」

口を挟んできたのは、鎧男だった。