恋口の切りかた

ざりっと草履を動かして足下の感覚を確かめ、両者は刀を抜いて睨み合う。


「私は貴様らのような輩が大嫌いだ」

睨み合いながら、冬馬がうめくように吐き捨てた。


「剣の腕を己の欲望のためだけに使い、真面目に暮らしている者に害を為すクズどもめ」


どくん、と私の中で過去の記憶がうずいた。

なに……?
冬馬は、私の過去のことを思ってくれて、言ってるのかな──


冬馬は切れ長の瞳を険しくした。


「貴様らのような連中がいるから、姉上も──」


冬馬の瞳の中にはちろちろと、
いつも雨の日に燃えているあの炎が見え隠れしている。


「そして、俺も……!」


──俺も?


私は冬馬の様子に、尋常ならぬものを感じた。


いつも「私」と上品な言葉を使っている冬馬が、「俺」なんて言うのも珍しかったし、

絞り出すような冬馬の怒りの正体が何なのか──
「俺も」というその冬馬の言葉が、何を指しているのか──


私にはわからなかった。