恋口の切りかた

「これだけ喧嘩を売っておいて、まさか異論はないだろうな」

浅黒い顔を蒼白にしている相手を、冬馬は氷のような目でジロリと一睨みした。


年下の若造からこう言われて、武士としては引き受けないわけにもゆかないということなのか……

「う、うむ。よかろう、承知した」

ごくりと生唾を飲み込んで、男が頷く。


私はこういうときやっぱり
嫌ならやめれば良いのにな、と思ってしまう。


道場の横にはならした土が敷いてあって、そこでも稽古ができるようになっている。

外に出ると、うっすらと積もった雪で辺りは白くなっていた。


白い息とふわふわ落ちてくる雪。

固く閉ざされたまま、家の戸が開くことのなかったあの日みたいに──冷たい冬の外が広がっている。


「冬馬様!」

雪の中、道場破りと対峙しようとする冬馬に、風佳が声をかけた。


風佳は青い顔をしていたけれど、真剣勝負に望む冬馬を引き留めたりはせずに

「御武運を」

とだけ口にした。