恋口の切りかた

うう、まさか齢四十を超えたおじさんにこんな落とし穴が……

「はーっははは! まったく大した剣法だな!」

高笑いする鎧武者を私は睨みつけた。


「宗助、新兵衛さんは?」

門弟たちに担ぎ出されて行った新兵衛の安否を尋ねると、宗助は首を振った。

「当分剣は握れないでしょうね。このまま復帰できるかどうかも……」


ああ、なんてことだ──!


「よくも新兵衛さんを……ッ」

「いや、今のはこっちのせいではないと思うぞ」

私の非難の声に、鎧武者はパタパタと手を振った。


「何にしても、これであと一勝すればこちらの勝ちだ!
一勝もできないまま追い込まれるとは、威勢が良いのは口だけか!」

口元に憎たらしい笑いを浮かべて、
最初に冬馬を煽った髭面の大男が、勝ち誇った様子で言い放った。


うう、悔しい──。


「大丈夫です」

それを睨みつけながら、冬馬が私の肩に手を置いた。

「次は勝ちますから」

「冬馬……」

「姉上は勝負の判定をお願いします」


そう、

次の試合は、いよいよ冬馬の番だ。