恋口の切りかた

何の音? と思ったら──


「うっほォオオオッ!?」


新兵衛のおじさんが不思議な叫びを発して停止した。


「こ──腰があ!!」


──へ?


そこに、

「隙有り!」

鈴捲ナニガシが打ちかかった。


新兵衛の肩口に相手の剣がめり込む。


「それまで」

鎧武者が高らかに告げて、

「新兵衛さんッ!」

「川島殿!」

私たちはパッタリ倒れ伏した新兵衛に慌てて駆け寄った。


「だ、大丈夫ですか?」

「失礼」と言って、宗助が新兵衛の上に屈み込んだ。

さすが忍者。
宗助は傷の具合を見てすぐに、

「刀を受けた肩は酷い打ち身ですが、幸い骨には別状なさそうです」

と言った。

私はホッとする。


「ですが……」

宗助は渋い顔をした。

「えっ、なに?」

私は再び不安になる。



「腰が……いってしもうた……腰がぁ……」

と何だか笑えるうめきを漏らしながら悶えている川島新兵衛を見下ろし、宗助は、

「腰の方は、これは完全にギックリ腰ですね」

と神妙な面持ちで言った。



こうして、あっという間にこちらの二敗が決定し、
いよいよ後が無くなったのだった。