恋口の切りかた

こうして一試合目はこちらの敗北が決まり、

二試合目──


こちらから出るのは、この場にいた門下生の中では一番の年長者で、
川島新兵衛という、いつもニコニコしている穏やかなおじさんだ。

長年真面目に稽古に打ち込んでいる人だと聞いている。
悲しいことに、未だ目録止まりではあるけれど。

でもこの人は、さっきの平八と違って、
私も稽古の相手をしてもらっていて、決して弱くはないことを知っている。

……強くもないけれど。

言ってみれば鏡神流門下の中で、中の中という腕前の人だった。

しかし、そこは齢四十を超える年長者。
経験豊富なところに賭けたい──!


相手は、ひょろっとした細身ではあるけれど
身の丈が六尺はありそうな長身の男だった。


獲物はやはり刃引き刀に決まり、
新兵衛さんが名乗って、

そして道場破りが名乗った。


「私は鈴捲流、鈴捲自斎という者だ!」

「…………」


に……ニセモノくさいっ!

滅っ茶苦茶ニセモノくさいようっ!


公平を期すため、今度の試合の判定は道場破り側の人が行うことになっている。


あの鎧マントの人がガシャガシャと手を挙げ、

「始め!」

と言って──、


「やあッ!」

新兵衛のおじちゃんは気合いも十分に突進した。


勢いのある突きだ。


刃引き刀というものは、切れ味は殺してあるので相手を斬ることはできないが、

たぶん突きの場合、決まれば大怪我は必至だ。


相手も危険を察知して慌ててかわす。

そこで新兵衛は大きく刀を振りかぶって──



ぐき、と変な音が聞こえた。