恋口の切りかた

結局、この場にいる門弟の中で最も強い二人を選び、それに冬馬と私、
最後の一人は円士郎が戻って来なければ──

「宗助、お前が相手をしろ」

と冬馬は言った。


「いや、俺は──」

「聞けば、父上や虹庵先生の剣の稽古につき合っているそうじゃないか」

「はあ……」

「直接見たことはないが、おそらくこの中ではお前が一番腕が立つんじゃないか?」


それは私も考えたのだけれど──


彼は忍だ。

技術を人目に晒すわけにはゆかないのだろう。


あの辻斬りとやり合った夜を含めて、私も宗助の腕前を直接見たことは一度もない。

父上に道場で稽古につき合えと命じられた時にも、宗助は

「どうか人前でだけは! お許し下さい」

と頑なに拒み、ならば人目につかぬ時に稽古の相手をせよと父上が言って、稽古の時間外に剣を振るっているようだった。


そんな宗助が、こんな衆目の前で道場破りの相手を引き受けてくれるとは到底思えない。

まあ、冬馬は宗助の正体を知らないから仕方ないんだけど。


「もしも、エンが帰ってこなかった時だけ、ね、お願い」

困った顔をする宗助に私は頼み込んだ。

「それに、ひょっとしたらその前に三勝して終わるかもしれないし」



もっとも、私のこの考えは甘かった。