恋口の切りかた

「それに、こいつはそこの冬馬様が堂々と引き受けた結城道場の問題だ。

部外者の俺が手を貸すってのは、ちょいと筋が違うんじゃないですかね」


遊水が口にしたのはもっともな意見で、

私には、この操り屋が
そこの道場破りたちと同じ悪党だとはやっぱり思えなかった。


「じゃあさ、遊水さんはエンの行き先に心当たりある?
呼んできてもらえると助かるんだけど……

多分、道場破りが来てるって伝えてくれたら、飛んで帰って来ると思うから」

「おや、見かけないと思ったら円士郎様はご不在で?」

遊水は横の風佳をちらりと見て、

「成る程ね、逃げなすったか」

と、おかしそうに言った。


「心当たりねえ……」

遊水は懐手にしている左手を顎に持っていき、

「まあ、賭場か昼見世か……」

「ヒルミセってなに?」

「おっとっと、こいつはこっちの独り言で。

円士郎様を呼びに行くくらいならばいいですよ。
では、見つかるかわかりませんが、道場破りが来ているとお伝えして参りましょう」


この頼みに関しては、遊水は二つ返事で快く請け負ってくれて、

パリパリと心地よい音を立てて唐傘を開き、
風流に下駄を響かせて雪の中へと去っていった。