恋口の切りかた

風佳は「さすが冬馬様です」なんて言ったけど、


「ちょっとちょっと、冬馬!」

私は息巻いている冬馬を引っ張って、道場の端まで連れて行った。

「わかってるの?」

「何がです?」

「道場破りなんてしてるってことは──
しかも遊水さんが言った方法で儲けてるってことは、この人たち、それなりの腕ってことだよ。

あちこちで他流試合の勝負をふっかけるなんて、全員免許皆伝くらいの達人なんじゃないの?」

「それがどうしたのですか、鏡神流はそこらの道場剣術とはワケが違います!
私と姉上がおれば、父上や虹庵先生が不在でも負けはいたしませんっ」


うああ、冬馬ってば頭に血が上って、全然わかってないよ……!

相手が五人いるってことは、この勝負──


「では、勝負はお互い五人ずつ出し合って、五試合それぞれ三本勝負で戦い、
三人が勝利したほうの勝ちでよろしいかな?」


私が頭を抱えていると、最初の髭面大男がそう持ちかけてきた。

──やっぱり。


「望むところだ!」

あっさりと頷いてしまった冬馬に、

「ちょっと冬馬っ」

私は本気で声を上げた。


「さっきからどうしたのですか、姉上?」

「あのね! 五人って、うちから出す五人はどうするの?」

「え……?」


ようやく私が言わんとすることに気がついたのか、冬馬は黙った。