恋口の切りかた

「まさか武士に二言はないだろうな!」


マントの鎧武者はずいっと一歩前に出た。

がしゃっと全身で鎧が音を立てる。


「ここで勝負を拒めば、
一度勝負を受けておきながら、尻尾を巻いて逃げた卑怯者、臆病者はそちらということになるぞ!」

「おのれ──誰が逃げるかッ!!」

再び冬馬が激昂する。


ああもう、何なんだよこの道場破りの人たちも!

一様にニヤニヤ笑いを浮かべている五人を見回して
私はウンザリした。

剣術勝負よりも口喧嘩勝負しに来たんじゃないの?


「まあ、そうだな、だが我々も明日死ぬワケでもなし、日を改めても構わないぞ」

すると鎧男は意外にもそんなことを言い出した。

「しかしそちらの都合に合わせて日を改めるならば、それなりの誠意というものを見せてもらわないとな」


──ん?

急に話の雲行きがおかしくなって私は眉の付け根を寄せた。


「手間賃として五十両、口止め料として五十両──締めて百両。

それで今日のところは大人しく帰ってやろうじゃないか、どうだ?」


「な──っ!?」


その場にいる者全員が思わず目を剥いた時──


「それがその者たちのやり口ですよ」

入り口から聞き慣れた声がした。


振り返ると、

緑色の瞳の金魚屋が、道場の軒下で唐傘をたたむところだった。