恋口の切りかた

髭面にはニヤニヤした嫌な笑いが浮かんでいた。

「ほほーう。武芸の場で身分・階級を持ち出すとは、底が知れるな」

「何ィ!? そこまで言うなら相手になってやる」

「ほう、勝負を受けるということだな!?」


「受けませんっ」

私は大急ぎで二人に割って入った。


「冬馬、落ち着いてってば!」

安い挑発だった。

「好きに吹聴すれば良いですよ」

私は髭面に向かってニッコリと微笑んだ。

「あの道場破りは、主が留守の時にしか道場の戸を叩けない卑怯者、臆病者だと世間は笑うでしょうけどね」

「ほう、言うな小僧」


大男が面白くなさそうに私を睨んで黙った。

……小僧ではないんだけどなー。




「だが今、ここの子息のそっちの小僧は勝負を受けると言ったぞ?」


大男に変わって朗々たる声で言ったのは、

例の妙ちくりんな格好をした鎧の人だった。