恋口の切りかた

道場へ向かいながら、
噂の道場破りを是非一度見てみたかった私は、ワクワクしていた。


こんな面白い時にいないなんて……円士郎も気の毒だな、なんて思う。

後で話をして羨ましがらせよう。



渡り廊下を通って道場に着くと、

「おお! 冬馬様、おつるぎ様!」

門弟の人たちが口々に声を上げた。

「この者たちが勝負させろと聞かんのです」


ひんやりした床の感覚を足の裏に感じながら、
私は道場の中をそっと見回した。


……いた!


門下生たちに囲まれるようにして、見知らぬ男たちが五人、道場の中に立っていた。


へえ、五人もいるとは知らなかった。


齢はまちまちで、どの人も大体二十代から三十代というところだろうか。
強面で、いかにも屈強な武芸者といった風体で──

──んん?


五人のうちの一人の格好を見て、私は首を捻った。

小袖に袴という軽装の他の四人と違って、
その人は異国の者が着るような長い羽織──マントとかいうものを羽織っていた。

更にその下に、戦国時代の鎧のようなものを着込んでいて、
動くたびにガシャガシャと物々しい音がしていた。

しかも顔には──目の所に何かつけている。

前に虹庵から見せてもらった、眼鏡というもののようだけれど──何だか変な形。


そんな格好のせいで顔立ちも体型もよくわからないけれど、
年齢は五人の中では一番若そうに見えた。


何だろ……この人もここにいるってことはそりゃ道場破りなんだろうけど……


……ヘンなの。


「悪いがお引き取り願おう」

冬馬が、五人に歩み寄って言った。

「本日は主不在故、勝手に他流試合などできん。どうしてもと言うならば、日を改めて出直すがいい」