恋口の切りかた

心臓が跳ね上がるのを感じた。

「えっ……? え……と……」

どきどきと
うるさく鳴る鼓動に胸を押さえながら私は振り向いた。


「な、なあに? 風佳、どうして?」


こんな質問……こんな時にされたら──

嫌でも頭の中に浮かびそうになる答えを、
私は懸命に振り落とそうとして、


「切なそうなお顔で雪を眺めてらっしゃいました。
その殿方のことを思っておられたのではないですか?」


風佳の言葉に固まった。


「まあ、お顔が真っ赤」

風佳が笑って、

「そうなのですか?」

冬馬が驚いたように言った。

「失礼ながら、姉上は剣術にしか興味がないのかと思っておりました。
好いた御仁がおありとは──」

「べ、別にいるとは言ってないよ……」

私が慌てて、一生懸命首を振っていたら、


「わたくしは、おります」

と、風佳は雪のような白い頬を薄紅色に染めて言った。


「えっ……」

私は風佳を見つめた。

「エン──兄上のこと……かな」

胸がズキンと痛むのを感じながら、私はおずおずと口にした。

すると風佳は、頬を膨らませてぷいと横を向いた。

「円士郎様なんて──ちっともわたくしとお話して下さらないではないですか」

「えっ?」

私はびっくりした。

「兄上じゃないの?」

「違いますっ!」