恋口の切りかた

「何話してるの?」

かけられた声に振り向けば、留玖が中間と二人がかりで金魚の入ったタライを運んでくるところだった。

くくく、と横から遊水の笑い声がして、

「あれー? エン、顔が赤いよ? どうしたの?」

留玖がかわいい仕草で首を傾げた。

「な、なんでもねーよ」

留玖から視線を逸らして、


俺はふと、その隣の中間男の顔で視線を留めた。


「見ない顔だな」


俺が言うと、その若い中間男はペコリと丁寧に頭を下げた。


「へえ、昨日から新しく入ったばかりで」

「ふうん」

抑揚のない、淡々とした喋り方で言った中間に
俺も気のない調子で頷き、

再び顔を上げたそいつを──


思い切り蹴りつけた。


「え──エン!?」

困惑の声を上げる留玖の
遙か背後まで吹っ飛んで転がった男に歩み寄り、

俺はその肩を踏みつけて見下ろした。


「何の用だ? 今度は俺と留玖に毒でも盛りに来たか?」