恋口の切りかた

「俺は……」

結局──

「あんたも大切に思ってる、とか言うつもりかい?」

揶揄するような遊水に、俺は首を振った。


結局、俺は留玖に──




「いや、惚れてる」




潔く自分の思いを認めた。

結局、あの遊女や遊水の言うとおり、そういうことなんだろう。



遊水が無言で目を大きくした。


「まあ、我ながらマズい相手に惚れちまったと思うがな」

俺が自嘲すると、

「おや、マズい? 何がマズいんで?」

遊水はうっすらと笑みを浮かべて、含み笑いを漏らし、

「血の繋がった妹君ならともかく、おつるぎ様は養子だろう?」

などと気楽なことを言いやがった。

あのなァ──。

「養子だろうが妹なんだよ」

俺は白々しい金魚屋の顔を睨みつけた。

「三親等以内の婚儀は御法度だ(*)」


遊水は吹き出した。


「婚儀ときたかい! いやいや、こいつは失敬。
軽い気持ちで聞いたら、どうやら重症のご様子だな」


こ……こんにゃろ──!

茶化されて、俺は頭に血が上る。


「……悪ィかよ!」

金の髪の男から、俺はキラキラと陽光に輝いている池の水面へと視線を移した。

遊水はそんな俺の顔をしげしげと眺めている気配を感じさせて、
くくく……と再び面白そうに低く笑った。


「本当に重症のご様子だ」



(*三親等以内の婚姻:幕府の定めた武家諸法度にて、血縁関係がない場合も近親婚は禁止)